離婚後、親権者または監護者に
ならなかった方が、
子どもに会ったり
手紙や電話などで交流することを
面会交流と言います。

以前は面会交流については法律に規定がありませんでしたが、平成23年の改正で離婚時に定める事項として規定されました。
面会交流は、子どもの健全な発達のために認められるいわば子どもの権利という側面もありますし、離れて暮らす親にとっては親の権利でもあります。
いずれにせよ、子どもの健全な発達には、同居していない親にも会えることが望ましいため、面会交流は子どものために実施するものであると考えられています。

面会交流が認められる基準

親の間に対立があったとしても、子どもの発達にとっては両方の親と面会できるのが望ましいと言えます。
ですから、原則として面会交流は認められなければならず、面会によって子の福祉が害されるおそれがある特別な事情がある場合にだけ例外的に面会交流が認められない場合があります。

面会交流が認められない場合

面会交流が認められない特別な事情の典型例として、次のような例が挙げられます。

1面会交流を求めた親による子の連れ去りのおそれがある場合

2面会交流を求めた親による子の虐待のおそれがある場合

3同居していない親が、同居している親を虐待するおそれがある場合

以前は、子を養育している親が面会を拒否している場合、子に葛藤を生じさせることが子の福祉に反するなどとして裁判所が面会交流を否定することもありましたが、最近の裁判所は、面会を認める傾向にあります。

新しい運用モデル

以上の記事は、代表弁護士が平成29年頃に作成しました。
その後、家庭裁判所の判断傾向が令和2年6月から変化して来ていますので、以下に追記します。
追記するのは令和7年3月時点の情報ですので、今後も変わっていくかもしれません。

民法改正の直後は、家庭裁判所も、原則として直接親子が会えるというスタンスで対応していました。
そのためか、今まで子どもと会えなかった親の調停申し立てが増え、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てる件数はここ10年でおよそ1.5倍になりました。
しかし、面会交流調停の数が増えても家庭裁判所の職員が増える訳ではないので、家庭裁判所は対策を迫られるようになりました。
そのような中、令和2年に、東京家庭裁判所のプロジェクトチームが「東京家庭裁判所における面会交流調停事件の運営方針の確認及び新たな運営モデル」を発表しました。
この新たな運営モデルは、平成24年から令和初めまでの面会交流原則実施論を批判し、実施するか否かを含めて個別事案に即して検討することを提案するものでした。要するに、原則実施だったものがケースバイケースになってしまったのです。

私が注目したいのは、この新たな運営モデルが、『親同士の関係』を、面会交流実施を検討するための事情と認めていることです。
離婚事件では親同士が仲が良くないため調停に発展しているのが通常ですから、親同士の関係が悪いことを理由に面会交流しなくてよいのなら、ほとんどの面会交流調停では面会交流をしなくてよいという結論になってしまいます。

そして、以下は私の感覚ですが、新しい運用モデルの発表後、「会わせたくなければ会わせなくても良い」という調停が増えました。
面会交流調停では家庭裁判所の調査官という職業の方が「調査報告書」という書類を書く場合が多いのですが、同居親の面会拒否を直接面会を否定する理由として認める調査報告書が増えてきたのです。
おそらく、同居親が他の親に子どもを会わせることを拒否した場合、調停で同居親を説得する役割を担っていたのは、主に家庭裁判所調査官だったと思います。
私は、同居親の拒否感を面会拒否の理由として認めてしまえば、調査官の説得作業の労力が大幅に軽減されて、件数処理の迅速化につながるのかな、とうがった見方をしています。

その結果かどうかわかりませんが、手紙やプレゼントを贈ることを「間接交流」と呼び、子どもと直接会えなくても「間接交流」できれば、「面会交流」出来たということにするという調停が増えました。このような調停では、ある程度の期間(1年ぐらい)間接交流をやった後に、将来、直接交流出来るかを検討するという方針で進むことが多いと思います。

しかしこれは、裁判所から見れば「間接交流も面会交流だから面会交流権を実現した!」ということになりますが、子どもと離れて暮らす親からみれば、「手紙やプレゼントを渡すだけで子どもと会えないし、いつ会えるようになるのかわからない」ということになります。
子どもに手紙を渡したいという理由で調停まで申し立てる人はむしろ少数派なのではないでしょうか。

このように、以前は原則実施だった面会交流も、今はケースバイケースで子どもと会えない場合も多くなっているようです。

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